時の流れるのは早いもので、2025年も残すところひと月と少しとなりました。
本日は、3大ブランドの一角である「オーデマ・ピゲ」を象徴するモデル、「ロイヤル オーク」の誕生について綴らせていただこうと思います。
「ロイヤル オーク」が誕生したのは1972年。
当時、スイス時計産業は大きな転換点を迎えていました。
はるか東洋の雄、セイコーが1969年に発表した世界初のクオーツ腕時計「クオーツ アストロン」に端を発する“クオーツショック”。
「安価」で「高精度」という、腕時計に求められる要素を圧倒的に満たす存在の登場は、従来の高価な機械式腕時計市場を急速に縮小させ、スイスの伝統的な機械式時計産業の在り方に大きな問いを突きつけました。
この状況は、どこか昨今の「電気自動車」と「内燃機関自動車」の関係を思い起こさせるものがあります。
機能面で優位に立つライバルに対し、スイスの高級機械式時計業界は“腕時計とは何か”という本質的な問いに向き合い、機能ではなく“情緒的価値”を提示する必要に迫られたのです。
そんな状況下で、オーデマ・ピゲが提示した答えこそが「スポーティでありながらエレガントなデザインを持ち、ゴールドのドレスウォッチ以上に高価な“ラグジュアリー・スポーツウォッチ”」という大胆なコンセプトでした。
その答えを具現化したのが、天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタが手がけた八角形ベゼルとタペストリー文字盤を特徴とする「ロイヤル オーク」です。
今回ご紹介する「ロイヤル オーク ジャンボ 5402ST」は、その初代モデルにあたります。
AUDEMARS PIGUET オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク ジャンボ 5402ST
小型、薄型が好まれていた当時にあって、39mmというケースサイズはきわめて異端の存在。
その迫力から、後に「ジャンボ」と呼ばれることとなりました。
ムーブメントには、厚さわずか3.05mmのCal.2121を搭載。
ジャガー・ルクルト製ベースを採用した超薄型自動巻ムーブメントで、当時の技術力の粋が込められています。
まるで機能最優先の“極東からの刺客”に対し、「腕時計とは単に時間を示す道具ではない。積み上げた技術とそれを守る矜持を宿し、身に着ける者の覚悟と立ち位置を語る存在である」、オーデマ・ピゲがそう宣言しているかのような、確固たる存在感が「ロイヤル オーク 5402ST」の最大の魅力です。
ビス留めの八角形ベゼル、ブレスレット一体型ケースといった、当時としては異端とも言えるデザインにも、その哲学が色濃く表れています。
当初1000本のみの予定で生産が始まった本作ですが、最終的には6050本が製造されました。
今回の個体が該当するCシリアルは、そのうち約952本とされています。
裏蓋には「Royal Oak」とシリアルが刻まれ、アイデンティティがしっかりと示されています。
さらに、2024年7月にはオーデマ・ピゲにて各種部品交換を含むコンプリートサービスを受けており、コンディションも大変良好です。
「ロイヤル オーク」誕生以降、オーデマ・ピゲを含むスイス高級機械式時計産業は見事に復活を遂げ、今日の隆盛は皆様のご存じのとおり。
シリーズ自体もステンレスにとどまらず、ゴールド、チタン、セラミックなど多様な素材展開を進め、「ロイヤル オーク オフショア」などの派生シリーズも誕生しています。
スイス機械式時計産業再興の嚆矢となった初代ロイヤル オーク ジャンボ 5402ST。
その確かなオーラと存在感を、ぜひお手に取ってお確かめください。
▼今回ご紹介した腕時計
AUDEMARS PIGUET オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク ジャンボ 5402ST
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