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本日はIWCの最高傑作とも言われる永久カレンダーの時計を紹介致します。
IWC ダヴィンチ パーペチュアルカレンダー クロノグラフ IW375034
IWC(インタナショナルウォッチカンパニー)は1968年、アメリカ・ボストンからドイツにほど近いスイス・シャウハウゼンにやってきた時計師フローレンス・アリオスト・ジョーンズが設立したメーカーです。
ボストンは当時、機械産業の中心地であり、ジョーンズはその技術とスイス時計産業の技巧を一体化させることに試みて成功し、世界市場に進出することとなりました。
その後、IWCは超耐磁性能を備えたパイロットウォッチ、オリジナルの自動巻システムなど、次々と実用性に優れた機構の開発を成功させ、シンプルな機能美を感じさせる時計を世に送り出し続けています。
こちらは、そんなIWCが1985年に発表した永久カレンダー・ムーンフェイズ・クロノグラフ機能を搭載したコンプリケーションモデル、「ダ・ヴィンチ パーペチュアルカレンダー クロノグラフ」(以下ダ・ヴィンチ)です。
「ダ・ヴィンチ」は、ルネサンス期の天才レオナルド・ダ・ヴィンチに敬意を表して名付けられた時計です。
1985年の発表当時、その殆どがオーダーメイドで生産されていた謂わば工芸品であった永久カレンダーを、世界で初めて量産化に成功したモデルで、既に生産終了のモデルですが、市場にあまり出回らず、根強い人気を誇ります。
この時計の特徴はその操作性の単純さです。
これだけの機能を備えたコンプリケーションモデルながら、リューズの操作のみで簡単に永久カレンダーの操作がおこなえます。
そのからくりは汎用ムーブメントを用い、シンプルな構造に設計したことによるものです。同時にそれはコストダウンにも繋がります。
発売当時この時計は200万円台という戦略的な価格設定だったことから、永久カレンダーの高価であるというイメージを大きく覆しました。
200万円台は十分高価な時計ですが、同時期のパテック・フィリップの永久カレンダーは1,000万を優に超える価格でしたので、ブランド力の違いはあるにしても同じ永久カレンダーという機能の時計との比較で「ダ・ヴィンチ」がどれだけ購入しやすい価格であったかが分かります。
結果として、汎用ムーブメントを用い工業製品化したことで量産化を実現し、手に届く価格にすることで世界中のメカ好きから評価を受け、大ヒット作となりました。
ケースデザインにおいても、複雑機構搭載モデル特有の厚みがあるもののケース径を39mmとコンパクトなサイズ感に抑え、ラグが可動式になっているため腕にしっかりと密着します。
均整のとれたレイアウトも秀逸で、表示機能の多さに関わらずクラシカルなデザインにまとめ上げています。西暦表示のための小窓が良いアクセントに。
ブレスレットは微妙なサイズ感の調整が効きやすいコマを採用しており、フィット感に優れています。
いかがでしたでしょうか。
IWCの歴史を辿りますと、本格実用出来る機械式時計生産への拘りを感じられます。
こちらの「ダ・ヴィンチ」も例に漏れず、操作性や価格、デザイン性において、実用時計であることを重視して作り上げられた、IWCならではの革新的なコンプリケーションモデル。
今でこそ当たり前になった永久カレンダーというメカニズムですが、この時計が生まれていなければ今のような形では広まっていなかったかもしれません。
発表から30年以上たった今なお、時計愛好家から支持を受けている傑作時計です。