GMTスタッフブログをご覧の皆さま、こんにちは。
本日もご覧いただきありがとうございます。
今日は海の日。
私自身、日々多くの時計に触れるなかで改めて感じるのは、数々の名作が、海への憧れや挑戦の歴史とともに育まれてきたということです。
潜水士や探検家の命を預かる道具として、あるいはブランドの技術力を誇る象徴として。
海という存在は、腕時計の進化において、特別なインスピレーションを与えてきました。
「防水性がある」というスペックの裏側には、その時代に求められた使命や、作り手の想いが込められています。
今回はそんな、海と時計の深いつながりに、少しだけ思いを馳せてみようと思います。
〇海の日とは
まずは「海の日」の由来をおさらいします。
海の日は、「海の恩恵に感謝し、海洋国家・日本の繁栄を願う日」として1996年に制定された国民の祝日。
そして、実はこの「海の日」という祝日は、世界で唯一、日本だけに存在するものだということをご存じでしょうか。
四方を海に囲まれた日本は、古来より海と共に暮らしてきた国。
海は常に、日本人の生活と密接に結びついてきました。
〇はじまりは「正確な時間」の必要性 ~マリンクロノメーター~
海と時計の関係性を語る上で、ダイバーズウォッチ以前に、絶対に欠かすことのできない存在があります。
遡ること、18世紀の航海時代。
船乗りたちにとって最も困難な課題は、広大な海の上で自船の正確な「経度(東西の位置)」を知ることでした。
緯度は太陽や星の高さから比較的容易に割り出せましたが、経度の測定には、出発地の時刻と現在地の時刻を正確に比較する必要がありました。
そこで登場したのが、「マリンクロノメーター」と呼ばれる高精度の船用時計。
この発明により、人類は初めて大海原での自身の位置を正確に把握し、安全な航海術を確立しました。
これこそが、海と時計の物語の原点なのです。
その後、ブレゲがフランス海軍御用達の時計師としてマリンクロノメーターを製作した歴史は、現代のコレクション「マリーン」へと脈々と受け継がれています。
※合わせて読みたい記事:【BREGUET】クラシックとモダンの融合│大人が惹かれる『マリーン』
〇深海への挑戦~ダイバーズウォッチ」という進化~
海の上を克服した人類が次なる挑戦の舞台としたのが、神秘のベールに包まれた「海中」でした。
この深海への挑戦が、腕時計に革命的な進化をもたらします。
1926年、ロレックスが発明した世界初の防水腕時計ケース「オイスターケース」は、その名の通り、牡蠣のように固く閉ざされ、水や塵の侵入を許しませんでした。
この発明は、時計が過酷な環境下でも使用できる「ツール」としての可能性を大きく広げました。
※合わせて読みたい記事:これがわかればロレックス通! 意外と知らない基本知識
そして1950年代、スキューバダイビングの普及と共に、本格的なダイバーズウォッチの時代が到来します。
ブランパンの「フィフティファゾムス」やロレックスの「サブマリーナー」、オメガの「シーマスター」など、現在もアイコンとして輝くモデルたちが次々と誕生しました。
これらはすべて、プロのダイバーたちの「命を守る」という切実な要求に応える形で生み出された機能です。
ダイバーズウォッチの歴史は、人類の深海への探求心と、極限状況下での信頼性を追求した技術者たちの情熱の結晶なのです。
〇海がもたらした「3つの革新」
① 素材の革新
サビや腐食の原因となる海水は、腕時計にとって決してやさしい環境とは言えません。
しかし、その過酷さが、時計の素材開発を大きく前進させてきました。
たとえば、かつて主流だったステンレススチールから、より耐塩性に優れた「チタン」へ。
さらに、傷に強く、色褪せない「セラミック」も誕生し、実用性と美観を両立する素材として進化を遂げています。
そして近年、「あえて変化すること」を前提にした素材として人気を集めているのが「ブロンズ(青銅)」です。
古くから船舶部品に使われてきたこの素材は、海水や空気と触れることで「パティナ」と呼ばれる緑青を生じ、一つとして同じものがない独特の風合いへと経年変化します。
これは腐食ではなく、素材の表面が自身を守るように変化していく現象であり、まさに時間の経過と共に“風格”をまとう素材ともいえます。
一つとして同じ風合いにならないその表情は、海とともに過ごした記憶を刻むような、持ち主だけの特別な一本として多くの人を魅了しています。
②デザインの革新
デザインにおいても、海は尽きることのないインスピレーションの源です。
その代表例が、オメガのシーマスター ダイバー300Mなどの文字盤に見られる波模様や、プラネットオーシャン ウルトラディープなどの深海を思わせるブルーのグラデーション文字盤。
ただの青ではなく、角度によって異なる表情を見せることで、まるで水面の揺らぎや、深海の力強さを感じさせるような美しさを湛えています。
こうしたデザインは、「海の壮大さ」や「爽快さ」を手元で感じるための芸術品へと昇華させています。
今や、機能性だけでなく、海の美しさを映し出すキャンバスとしての役割も担う存在へと進化しているのです。
③思想の革新
ここ数年、時計業界でも特に注目を集めているのが、海洋保護への取り組みです。
気候変動やプラスチックごみによる海の汚染が深刻さを増すなか、多くのブランドが単なるイメージ戦略にとどまらない、本質的な活動に乗り出しています。
たとえばブランパンは、長年にわたり「オーシャン・コミットメント」というプログラムを通じて、海洋調査や保護活動を継続的に支援してきました。
またロレックスは、「パーペチュアル プラネット」構想のもとで、探検家や科学者とのパートナーシップを結び、地球そのものを守るためのプロジェクトを推進しています。
最近ではタグ・ホイヤーも、サンゴ礁の育成や移植を支援するプロジェクトに参加するなど、こうした取り組みはブランド単位にとどまらず、業界全体へと広がりを見せています。
海をテーマにした時計を選ぶことは、美しさを楽しむと同時に、未来の海を守る意志を託すことでもあります。
いかがでしたでしょうか。
海と時計の関係は、人類の挑戦の歴史、技術と素材の革新、そして未来の地球への想いが交差する、壮大でロマンあふれる物語です。
今年の海の日、そしてこれからの季節。
ぜひ、ご自身の腕時計に込められた海への想いに心を馳せてみてください。
そして、新たな1本をお探しになる際には、機能やデザインだけでなく、その背景にある「物語」で選んでみてはいかがでしょうか。
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