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機械式腕時計にとって悩ましい問題である磁気帯び。
大部分が金属で出来ている腕時計故に、磁場に晒された際に内部のパーツが磁気を帯びてしまい時計の精度に悪影響を与えます。
現代では、スマートフォンやパソコンなどの磁気を発生させるデバイスも多く、イメージしやすい問題ですが、腕時計の長い歴史においても、鉄道職員や医者、科学者といった特定の職種に就く方にとっては頭を抱える悩みでした。
そんな腕時計の弱点を解決するために生まれたのが「耐磁腕時計」と呼ばれる腕時計です。
今回は誰もが知るROLEXが誇るこちらの耐磁腕時計をご紹介します。
ROLEX ロレックス ミルガウス 116400GV ブラック
1956年に初めて登場したミルガウス。
フランス語で「1,000」を表す「ミル」と磁束密度の単位である「ガウス」から名付けられたこの腕時計は、先述した医師や科学者といった強い磁気に晒される状況でも通常使用できる腕時計として開発されました。
高い品質を誇るロレックスとあって、名前の示す通り1,000ガウスもの耐磁性能を持つ腕時計として高い性能を発揮しましたが、当時の一般市場ではあまり受け入れられず、1987年頃には生産中止となってしまいました。
転機が訪れたのは2007年。
この頃になると携帯電話やパソコンといった電子機器が一般的に普及しており、日本におけるiPhone3Gの発売日が2008年7月といったように次々と身の回りで磁気に晒されることも多くなりました。
その為各ブランドが磁気対策を自社の腕時計に施すこととなり、ミルガウスも晴れて復活を果たすこととなります。
ミルガウスを象徴する稲妻型の秒針。
これは初代で採用されていたデザインであり、他のコレクションには決して採用されることのない唯一無二の個性となっています。
もうひとつ、ミルガウスだけに与えられた個性があります。それがグリーンサファイアクリスタル風防です。
型番の末尾に付くGVは「Glace Verte(緑のガラス)」の略で、ミルガウス誕生50周年のアニバーサリーモデルとして発表され、こちらも他のコレクションには採用されない特別なものとなっています。
ロレックスのコーポレートカラーであるグリーンと差し色となっているオレンジ色がデザインをより一層特別感のあるものにしています。
ムーブメントはミルガウスの為に設計されたCal.3131。
帯磁による影響を受けやすいアンクルとガンギ車に常磁性素材、ゼンマイにはロレックス独自のブルーパラクロム・ヒゲゼンマイが採用され、設計段階から高い耐磁性能を有しています。
このムーブメントを軟鉄製のインナーケースで覆うことで更に徹底した磁気対策を施しています。
その為、他のコレクションと比べケース径40mmに対し、少し厚めの13.5mmのケース厚となっていますが、若干丸みを帯びたこのシルエットが他の腕時計では味わえないミルガウスらしさとなっています。
ROLEXの中でも特に実用性を重視して誕生したように思えるミルガウスですが、ブレスレットのセンターをはじめ各所にポリッシュ仕上げが施されており、煌びやかに輝く様子は非常に高級感溢れるものでスーツ等のビジネスシーンにおいても非常にマッチします。
カジュアルスタイルにおいてもある程度のケース厚があるため程よいアクセントを腕元に与えてくれます。
現行機ではどのコレクションも耐磁性能が格段に向上したこともあってか、2023年に惜しくも廃番となってしまったミルガウス。
シンプルなノンデイトの3針ながらオイスターパーペチュアルにはない魅力が詰まった腕時計です。
今回ご紹介した時計はこちら
ROLEX ロレックス ミルガウス 116400GV ブラック
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それでは、素敵な時計ライフをお過ごしください。