GMTスタッフブログをご覧の皆さまこんにちは。
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現在公開中の「ラグジュアリースポーツウォッチ」特集より、こちらの時計を紹介いたします。
ブレゲの「マリーン」コレクションは、2018年に行われた大幅なアップデートにより、第三世代へと進化を遂げました。
「5527TI/Y1/TW0」は、クロノグラフを搭載したオールチタン製モデルとして、2021年にラインナップに追加された腕時計です。
伝統を重んじるウォッチメゾンが積極的に採用して来なかった「チタン」素材を使用し、革新を続けるブレゲですが、搭載されているクロノグラフムーブメント「Cal.582QA」は、古くから使われている伝統的なキャリバーをベースとしています。
「Cal.582QA」の歴史は、1994年に開発されたヌーヴェル・レマニア製クロノグラフ「Cal.1350」まで遡ります。
2003年にブレゲと統合し、「ブレゲ・マニュファクチュール」としてブレゲのムーブメント部門を担うレマニアですが、古くから高品質なムーブメントメーカーとして知られ、特にクロノグラフはパテックフィリップのグランドコンプリケーションのベースとして使用されるなど、世界的に高く評価されていました。
<パテックフィリップ Cal.CH27-70Q>
「レマニア Cal.1350」が「Cal.582QA」へと改良されていくのですが、これにはブレゲのエントリーモデルとして1995年に販売された「タイプⅩⅩ アエロナバル」が大きく関係します。
ブレゲ アエロナバル TYPEXX 3800ST/92/9W6
ブレゲはアエロナバルに搭載するため、「レマニア Cal.1350」のデイト機能をオミットし、フライバック機能を追加した「Cal.582」を開発しました。
「Cal.1350」から「Cal.582」へのアップデートを手掛けたのは、ムーブメントメーカーのTHAの創業者「フランソワ-ポール・ジュルヌ」です。
このように、1994年に誕生した「Cal.1350」から「Cal.582」へと進化し、デイト機能を備えた「Cal.582Q」を経て現在使用されている「Cal.582QA」に至ります。
現在、ほとんどのクロノグラフムーブメントがコラムホイール式ですが、基本設計の古い「Cal.582QA」は未だにカム式が採用されています。
カム式は、汎用ムーブメント「ETA7750(SW500)」を除けば、スピードマスタープロフェッショナルの「Cal.3861」くらいにしか採用されていないため、現在ではかなり希少なディテールとなっております。
<オメガ Cal.3861>
もちろん現在使用されている「Cal.582QA」は、1995年当時の「Cal.582」から格段に進化しております。
脱進機とヒゲゼンマイには、現代のブレゲではお馴染みのシリコン素材を採用しており、中間車に特殊な歯車を使用することによって、クロノグラフ作動時の動力伝達や針飛びを大きく改善させました。
「5527TI/Y1/TW0」は、ムーブメントのみを取り上げても、伝統と革新の入り混じったブレゲらしい腕時計です。
長年かけて改良された成熟したキャリバーをぜひともご体感ください。
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それでは、素敵な時計ライフをお過ごしください。