機械式腕時計の「防水機能」について解説します。

2024年08月10日

GMTスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。

本日もご覧いただき誠にありがとうございます。

この暑い時期になると必ず「この時計で海に入れますか?」などのご質問を多くのお客様からいただきます。
そこで今回は実際に時計をお持ちの方から、今後購入を検討しているという方の疑問を解消するために、時計の「防水機能」について解説したいと思います。

まずは防水機能がなぜ必要なのかについてお話させていただきます。

機械式時計において「水分」は最大の敵の一つです。時計内部に水分の侵入を許してしまうと、パーツの錆びや風防の曇り、ひどい場合ではムーブメントごと交換するといった高額な修理が必要になってしまう場合もあります。このような事態を回避し、快適かつ長く時計をお使いいただく為に「防水機能」は搭載されています。

防水時計にも細かな区分が存在しておりJIS=日本工業規格で考えると「日常生活用防水時計」「日常生活用強化防水時計」「潜水時計/飽和潜水時計」の4種類に区分されます。それぞれどの程度の防水機能を持つのか解説していきたいと思います。

 

①日常生活用防水
日常生活防水は2~3気圧防水の事を指しており、生活の中でかかることのある水分から時計を守ることを想定しています。

実例としては、雨が降ってきた際に濡れてしまったいうケースや、夏場の汗などがあげられます。
水滴の付着などは問題ありませんが、水圧が大きく変化するシャワーなどの使用や、マリンスポーツ、ダイビングなどには向かない性能となっています。

②日常生活用強化防水
日常生活強化防水は5気圧防水から20気圧防水までが存在しており、より強い防水機能を備えた時計になります。

10気圧や20気圧防水にまでなると、マリンスポーツ(水泳・ヨット)にも対応が可能となりますが、急激な水圧の変化や潜水には適していません。
そのため河や海などの使用では細心の注意を払っていただければと思います。

③潜水時計
潜水時計は厳密に区分すると「空気潜水用防水」と「飽和潜水用防水」の二種類に定義されます。

まず「空気潜水用防水」ですが100m~200mの防水機能を搭載したモデルが多く、表示されている水深までの耐圧性と長時間の水中使用に耐える防水性を備えています。
潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルを装着しているのもポイントの一つで、こういった条件をクリアしているモデルがダイバーズウオッチとして扱われます。

続いて「飽和潜水用防水」ですが200m~1000m以上の防水機能を持つモデルを指します。

ちなみに「飽和潜水」はヘリウムと酸素の混合ガスの呼吸気体を利用し、潜水を行う技術の一つで、主に深海で作業を行うために用いられます。

用途の特性上、高い防水機能を有するのと同時に、ヘリウムガスによる時計への悪影響を排除するための機能が必要になります。

内部に侵入したヘリウムガスを排出するヘリウムエスケープバルブが代表的ですが、最初から内部にヘリウムガスを侵入させない特殊なケース構造などの独自技術が用いられているモデルも存在しています。

一般的な生活を送る上では、オーバースペックにはなりますが、安心して利用したいという方にはおすすめです。

最初に書かせていただいたように「水分」は時計にとって大敵です。防水機能がしっかりと備えられた時計であっても人為的なミスなどでその機能が発揮されなくなってしまうことがあります。その注意点についてご紹介いたします。

①リューズの閉め忘れ

まずはリューズの閉め忘れです。
ROLEXを始め多くの時計メーカーでは防水性を維持するために、リューズをねじ込み式にするなどの工夫を施しています。しかしながら操作をつかさどるというパーツの特性上、閉め忘れなどが多くそのまま水分が侵入してしまった等の事例が報告されています。
リューズの閉め忘れには十分ご注意ください。

②海や川での使用について

一番最初にご紹介したようにこちらの質問を多くいただくことがございます。
ダイバーズウオッチであれば比較的安全ではありますが、水圧というのは人が想定する何倍も力が加わる場合がございます。
水場での使用についても十分にご注意いただければと思います。

どうしても水場で使用したいけど不安だという方は当社独自の「安心サービス」をご検討ください。通常では保証されない浸水事故にも対応しておりますので、より安心して時計を使っていただけます。

いかがでしたでしょうか。
今回は時計の持つ防水機能についてご紹介させていただきました。

時計選びのご参考になれば幸いです。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。
それでは、素敵な時計ライフをお過ごしください。

RECOMMEND

PAGE TOP