高級時計の醍醐味といえば、緻密に美しく仕上げられたムーブメントを視覚的に楽しめる「シースルーバック(裏スケ)」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実用性を極限まで追求してきたロレックスにおいては、長年「ソリッドバック(密閉式の裏蓋)」が絶対の基本であり、その頑なな姿勢こそがブランドのアイデンティティでもありました。
そんなロレックスの“常識”が、ここ最近になって大きな変化を迎えています。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
近年のロレックスは、デイトナのプラチナモデル「126506」や、デイトナルマン「126529LN」、そして「ランドドゥエラー」といった特別なモデルにシースルーバックを採用するようになりました。
今までシースルーバックを積極的に採用して来なかったのは、防水性をより高めるためや、実用高級時計というブランドイメージを確立するためといった理由があったのだろうと思われます。
しかしながら、そんなロレックスにもかつてシースルーバックのレギュラーモデルが存在していました。
それが、今回ご紹介するこちらの一本です。
ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
ドクターズウォッチの伝統を復刻
チェリーニプリンスは、ロレックス創業100周年となる2005年に、かつての名作「プリンス」を復刻した腕時計です。
1920年代後半に登場した手巻き角形時計「プリンス」は、その大きなスモールセコンドから、医療関係者が脈拍を計測する際に重宝したと言われ、「ドクターズウオッチ」と呼ばれていました。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
復刻したチェリーニプリンスは現代的にアップデートされているものの、「手巻き角形時計」、「大きなスモールセコンド」といった当時のプリンスのアイデンティティを美しく踏襲しています。
初のシースルーバックとCal.7040
すぐに目に飛び込んでくる最大のポイントとして、ロレックスのレギュラーモデルで初めてシースルーバックを採用していることが挙げられるでしょう。
搭載されている「Cal.7040」はチェリーニプリンスのためだけに設計されており、小型ながらパワーリザーブも約70時間と、当時としてはかなりハイスペックなムーブメントとなっております。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
全面に施されたクル・ド・パリ装飾
特筆すべきはムーブメント、文字盤の両面に施された「クル・ド・パリ」装飾です。
クル・ド・パリ装飾はパテックフィリップがカラトラバのベゼルに施しているものが有名ですが、ムーブメントの地板にまで大胆に採用している腕時計はこれ以外には思い浮かびません。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
チェリーニプリンスは計4モデルが存在していましたが、それぞれ異なる文字盤デザインと、文字盤に対応したムーブメントの仕上げが施されており、極めて手間の掛かったモデルであったことは間違いないでしょう。
妥協なき精度を支えるブレゲひげ
緩急装置は当然「フリースプラング」、ひげゼンマイは「ブレゲひげ(巻き上げひげ)」と、ロレックスらしい作りの良さは健在です。
ブレゲひげは姿勢差に強く、精度を高めるために重要な要素ですが、製造コストが高いため採用しているウォッチメゾンはそれほど多くありません。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
ロレックスはエントリーモデルのオイスターパーペチュアルを含む全モデルでブレゲひげを採用しており、これはメゾンとして非凡で特筆すべき点と言えるでしょう。
まとめ|ロレックス史に残る隠れた名作
チェリーニという比較的目立たないコレクションだったこともあり、当時の製造数はそれほど多くなかったと思われ、現在の中古市場でも非常に希少になりつつあります。

ROLEX ロレックス チェリーニ プリンス 5440/8
素晴らしいムーブメントを製造しながらも、それを見ることができるモデルが極めて少ないロレックスにおいて、このチェリーニプリンスは検討すべき価値のある、極めて魅力的なタイムピースと言えるでしょう。
それでは、素敵な時計ライフをお過ごしください。
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