おひさしぶりです、EC担当の西山です。
今回は小説の中に登場する時計について書いてみたいと思います。
テレビドラマ化、映画化と時代を超えて愛される推理小説といえば「シャーロック・ホームズ」!
現代語翻訳の小説を本屋で見かけて、ついつい手に取ってしまいました。
読みやすい現代語訳版がオススメです↓
舞台は19世紀半ばのロンドン。「シャーロック・ホームズ」シリーズの有名なエピソードの1つ、
【シルヴァー・ブレイズ(白銀号事件)】は、こんなシーンから始まります。
ウェセックス・カップ(イギリスの競馬レース)の本命馬が謎の失踪をとげたうえ、その調教師が殺された事件を追って
キングス・パイランド(ダートムア)まで赴くことになったホームズとワトスン。
パディントン駅から汽車に乗り込み、目的地に向かう旅すがら
ホームズはワトスンに話しかけます。
「順調に走っているね」
窓の外を眺めて、時計に目を落とすホームズ。
「現在の速度は、時速53マイル半だ」
「四分の一マイル標があったのかい?見えなかったけどな」
「僕もだよ。だが、この沿線の電信柱は60ヤードおきに立っているから、簡単に計算できるんだ」
「ところで、、、」
ここで急に話題を変えて、今回の事件のあらましについてワトスンと会話を進めていくわけですが
「窓の外と時計を見て時速を計ってみせたホームズ」に注目です。
時速の計算は学生時代以来ですが、簡単に計算してみたいと思います。
『1マイル=1,760ヤード=約1,600メートル』として、時速は『53.5マイル/h』だとホームズは計算しています。
これをおおまかに換算すると、汽車の時速は94,160ヤード/h(約85.6km/h)です。
電信柱が60ヤード(約54.6メートル)おきに立っていることを知っていたホームズは、
柱の間隔を通過するのにおおよそ2秒程度かかることから
汽車の時速を計測し、順調な速度であると判断できたということになります。
これに対してワトスンは、汽車の外の四分の一マイル標をみて計ったのかと問います。
四分の一マイルは約400mですから、
マイル標の間隔だけを見て53.5マイル/hの時速を計測した場合は、約17秒かかる計算です。
会話の流れから、より狭い指標(電信柱の間隔)を知っていたホームズが
手元の時計を短時間見て、正確な情報を得ていたことがわかります。
ちなみに、この時代にはもちろん懐中時計が主役であり、
時計を懐から取り出す描写が頻繁に出てきます。
現在では懐中時計を愛用される方は少なくなっていると思いますが、
作中の当時から確固たる時計メーカーとして名を馳せ、
かつてはフランス王妃、マリー・アントワネットに懐中時計を製作したことでも知られる
ブレゲ(創業はフランス・パリ)から、こんな腕時計はいかがでしょうか?
懐中時計のようなクラシックな雰囲気で、作中に登場する時計はこんな感じだろうか…と想像が膨らみます。
気品溢れる美しさです。
(実際は急激に工業化が進んだ19世紀イギリスのこと、時計も大量生産で、もっと無骨なデザインだったかもしれません)
そこは想像力でカバーですね。
個人的にはこちらもオススメです。
装飾の美しさだけでなく、機能面でも楽しませてくれます。
余談ですが、「もし現代にホームズがいたら?」という設定で、イギリスのテレビドラマ「シャーロック」では
おなじみのベイカー街で探偵業を営み、鮮やかな(そして少し偏屈な)推理を披露するホームズも登場しました。
スマートフォンやPCを操るホームズが新鮮で、こちらもとても面白くてオススメなのです。
ご興味あるかたはぜひ!