こんにちは、小山です。
本日は、個性的な機能を持ったタイムピースを紹介します。
ジャガールクルト ジオフィジック トゥルーセコンド Q8018420
まずは、このモデルの歴史を追っていきましょう。
国際地球観測年の1958年に、過酷な環境で活動する
研究者や探検家のために対磁・防水性能、視認性、
正確性を追求して作られたのが、オリジナルとなる
ジオフィジッククロノメーターです。
時間表示はシンプルなセンターセコンドの3針。
針は夜光塗料が塗られたリーフ型の針と文字盤の
中央には特徴的な十字のデザインとアラビア数字の
インデックスという視認性に優れたデザインでした。
ムーブメントには478BWsbrという当時、イギリス空軍の
パイロットウォッチとして納入されていた、Mark XIに
搭載されていたムーブメントを改良した手巻きムーブメントを
軟鉄製のインナーケースと共に搭載していました。
このモデルは世界初の原子力潜水艦ノーチラス号の
艦長ウィリアム アンダーソンにも贈られていたそうです。
正に当時のジャガールクルトの技術を結集した
時計だったのではないかと思います。
それから時代がぐっと進んで、
2014年に800本限定の復刻モデルが発表されます。
オリジナルを忠実に再現したデザインのままでケースサイズは
35mmから38.5mmへ拡大されました。
文字盤オリジナルのデザインを踏襲。
ムーブメントは自動巻きのCal.898/1となりますが、
オリジナル同様に軟鉄製インナーケースを採用し、
対磁性能を確保していました。
復刻モデルとしてオリジナルの持つ魅力を
真っ直ぐに伝えるモデルでした。
そして翌年の2015年に今回ご紹介する、
ジオフィジック トゥルーセコンドが発表されました。
限定モデルに比べケースサイズは1mm拡大。
軟鉄製のインナーケースもなくなりシースルーバックとなっています。
文字盤のデザインも特徴的な十字は無くなりインデックスも
バーインデックスへ変更され、3時位置にカレンダーが追加されました。
針もストレートタイプとなり、すっきりとしたシンプルなデザインとなりました。
一番の特徴は秒針の運針方法です。
機械式時計の秒針は滑らかに針が進むスィープ運針ですが
このモデルは機械式モデルでありながら秒針が1秒1秒ジャンプしながら
進むステップ運針を行います。
メーカーにより「デッドセコンド」「デッドビート」「ジャンピングセコンド」などと
呼ばれますが、ジャガールクルトでは「トゥルーセコンド」と呼んでいます。
この機能を実現しているのが新型ムーブメントCal.770です。
トゥルーセコンドを実現したムーブメントの部品点数は275個に達します。
この部品点数がどれくらい多いかというと、
スターコントロール搭載の3針カレンダームーブメントCal.899/1が219個
マスタークロノグラフ搭載のムーブメントCal.751/A1が277個と
他のムーブメントと比較すると、トゥルーセコンドを制御するために
クロノグラフ並みの複雑な機構が必要なことが分かります。
シースルーバックから見えるムーブメントで目を引くのは、その仕上げの美しさです。
22金製のローターとムーブメントには直線的なコート ド ジュネーブが施されています。
従来の仕上げは曲線を用いた仕上げが多かったのでとても新鮮です。
次に「ジャイロラボ」と名付けられた独特な形状の天輪です。
通常。テンプは文字通り円形の天輪の中にヒゲゼンマイが設置されていますが
このムーブメントの天輪は丸くありません。
ジャガールクルトのロゴ「JL」の形を模した、天輪は空気力学を考慮した
空気抵抗の少ない形状を採用し、高い精度を実現します。
歴史と高い技術力を誇るマニュファクチュールだからこそ作り上げることが
ジャガールクルトの新世代ムーブメントの先駆けとなるムーブメントです。
2014年の限定モデルはオリジナルの持つデザインに忠実に復刻された
1958年当時の雰囲気を強く伝えるモデルだとすれば、
ジオフィジックトゥルーセコンドはオリジナルが作られた時の
最先端の技術を用いて高精度な時計を作るといった
ジャガールクルトのマニファクチャラーならではの
チャレンジ精神を伝えるモデルではないしょうか。
実際に時計の運針を見ているとトゥルーセコンドは
時間の正確性を視覚的に表現し、秒単位の視認性を
向上させる機構だと実感しました。
時間を確認するたびに、この時計を着けている喜びを感じられる傑作です。
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